コラム
経緯(未完成やけど)
何の取り柄もない自分に、落胆した
これといって人より優れているものもない
「自分には何ができるんやろう」と、ずっと考えていました
10代の頃、僕はたこ焼き屋でアルバイトをしていました
その後、いろいろな仕事や経験を経て、メガネ屋に就職しました
そこで働くうちに、いつしか「自分でメガネ屋を開業したい」と思うようになりました
そして、実際に自分の店を持とうと動き始めました
でも、いざ開業しようとすると、現実はそんなに甘くありませんでした
資金や経験、いろいろな壁があり、結局、メガネ屋を開業することは諦めざるを得ませんでした
ただ、不思議と「じゃあ、どこかの店でまた働こう」とは思いませんでした
一度、自分で商売をするということを考え始めたからなのか、
もう頭の中は「自分で何かをする」という方向に変わっていたんです
メガネ屋を諦めて、改めて自分に何ができるのかを考えてみると、
これといって人より優れているものもない
「自分には、何ができるんやろう」
そう考えれば考えるほど、何の取り柄もない自分に落胆しました
それでも、自分で何かをしたいという気持ちだけは残っていました
「メガネ屋が無理なら、じゃあ自分には何ができるんやろう」
そう考えたときに思い出したのが、10代の頃に働いていた「たこ焼き」でした
「たこ焼きなら、自分にもできるかもしれない」
そう思い始めてから、少しずつ自分の頭の中は、たこ焼き屋をするという方向に変わっていきました
でも、そこでまた考えました
たこ焼き屋になりたいだけなら、たこ焼き屋に就職すればいい
わざわざ自分で店をやるんやったら、今あるたこ焼き屋と同じことをしていても、既存のお店に勝てるわけがない
「自分で店をする意味って何やろう」
そう考えるようになりました
せっかく自分で商売をするんやったら、
今までにないたこ焼き屋をやらなければいけない
そう考えて、まずは自分のたこ焼きを作ることから始めました
生地はどうするのか
具材は何を入れるのか
どうすれば美味しいたこ焼きになるのか
いろいろ試しながら、ようやく自分なりのたこ焼きの生地ができました
そして次に考えたのが、
「このたこ焼きに、どんなソースをかけよう」
ということでした
そこで初めて出会ったのが、大阪の地ソースでした
食べてみると、これが本当に美味しかった
「ソースって、こんなに違うんや」
それまで僕にとって、ソースはソースでした
でも、大阪の地ソースをいろいろ食べてみると、メーカーによって味も香りも全然違う
どれも個性があって、どれも美味しい
そして、食べているうちに、ふと疑問に思いました
「なんでこんなに美味しいソースを、今まで自分は知らんかったんやろう」
大阪で生まれ育って、大阪にずっと住んでいる自分ですら知らなかった
「なんで大阪に住んでる自分が、大阪のこんな美味しいソースを知らんねやろう」
そこから、もっと大阪のソースを知りたいと思うようになり、いろいろなソースを食べてみました
そして、食べれば食べるほど、
「これも美味しい」
「こっちも美味しい」
となっていきました
「こんなに美味しいソースがたくさんあるんやったら、全部使いたい」
そう思いました
それが、自分の店の特徴になるんじゃないかと思ったんです
いろいろなソースを知っていくうちに、
「こんなに美味しいソースがあるのに、知られていないのはもったいない」
と思うようになりました
「この美味しさを、もっとたくさんの人に知ってもらいたい」
そう思いました
でも、そのとき同時に、
「自分に、そんなことができるんやろうか」
とも思いました
そこで思い出したのが、メガネ屋で働いていた頃に学んだことでした
メガネ屋で一番学んだのは、ただ商品を売ることではなく、その商品の良さや魅力を見つけて、お客さんに伝えることでした
「これって、ソースでも同じことができるんじゃないか」
ソースにも、それぞれ違った味や香り、作り手のこだわりがあります
そのソースのいいところを自分が見つけて、それをお客さんに伝える
それなら、自分にもできるんじゃないか
そう思いました
そして、もし自分がこの美味しいソースをもっとたくさんの人に知ってもらうことができたら、それは一つの社会貢献になるんじゃないか
大阪の美味しいソースを知ってもらうことで、大阪の食文化にも貢献できるんじゃないか
それに、大阪のことを伝えるんやったら、大阪で生まれ育った人間がやることで、もっと説得力が出るんじゃないか
大阪で生まれ育って、大阪の味を食べてきた自分だからこそ伝えられることがあるんじゃないか
「これやな」
そう思いました
自分には、これといって人より優れているものはない
でも、メガネ屋で学んだ「商品の魅力を見つけて伝える」ということと、
大阪で生まれ育った自分だからこそ持てる説得力を合わせれば、
大阪の美味しいソースをもっとたくさんの人に知ってもらうことができるかもしれない
何の取り柄もないと思っていた自分でも、
これなら自分にもできるかもしれない
そうして、少しずつ自分がやりたいことが見えてきました
それから、休みの日にはソースメーカーを訪ねるようになりました
実際に作っている人に話を聞き、そのソースがどんな思いで作られているのかを知り、直接ソースを仕入れる
ただたこ焼きを売るだけじゃない
大阪の美味しいソースを、もっとたくさんの人に知ってもらいたい
そして、そのソースを実際に食べてもらい、気に入ったものは家でも使ってもらいたい
「知ってもらう、食べてもらう、使ってもらう」
それを通して、大阪の美味しいソースをもっとたくさんの人に知ってもらいたい
それが、僕がこの店でやりたいことです